平成30年度(2018年度)2018.4-2019.3
抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が担保不動産競売により売却された場合において,その競売手続の開始前から当該賃借権により建物の使用又は収益をする者は,当該賃借権が滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても,民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」に当たる。
共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は,譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き,上記譲渡をした者の相続において,民法903条1項に規定する「贈与」に当たる。
詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務は,履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。
養子縁組の無効の訴えを提起する者は,養親の相続財産全部の包括遺贈を受けたことから直ちに当該訴えにつき法律上の利益を有するとはいえない。
団地管理組合法人が一括して電力会社との間で高圧電力の供給契約を締結した上で団地建物所有者等が当該団地管理組合法人との間で専有部分において使用する電力の供給契約を締結して電力の供給を受ける方式への変更をするために,団地建物所有者等に対し,その専有部分において使用する電力につき個別に締結されている供給契約の解約申入れを,規約を設定するなどして義務付ける旨の集会決議がされた場合において,上記変更は専有部分の電気料金を削減しようとするものにすぎず,上記変更がされないことにより専有部分の使用に支障が生じ,又は団地共用部分等の適正な管理が妨げられることとなる事情はうかがわれないなど判示の事情の下においては,団地建物所有者は上記集会決議又は上記規約に基づき上記解約申入れをする義務を負うものではなく,団地建物所有者が上記解約申入れをしないことは,他の団地建物所有者に対する不法行為を構成しない。