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(質問)代金の20%を超えて違約金を定めると契約が無効に?
(質問)損害賠償額の予定に上限はあるの?
(回答)個人売買や業者間取引においては、特に上限はありませんが、売主が宅建業者で、買主が宅建業者以外の場合には、上限が定められています。
(質問)なぜ上限があるの?
(回答)以前、宅建業者を売主とする売買契約において、買主の債務不履行を理由とする契約解除の場合に、例えば売買代金の3割相当額を損害賠償額の予定又は違約金として定める等、買主に過大な損害賠償の支払いを強いる不当な内容の契約条項を押し付けるという問題がありました。そこで、昭和46年に、消費者の利益を保護するためにこの制度を設けました。
(質問)損害賠償額の予定を定めなかった場合は?
(回答)予定額を定めなかった場合は、損害賠償額を立証して請求することができます。また、その際の賠償額に条件はありません。
(質問)違反するとどうなるの?
(回答)前記に反する特約を定めた場合は、代金の額の20%を超える部分について無効となります。全部が無効となるわけではありません。また、売主業者のみならず、媒介代理業者が関与した場合には、「取引の公正を害する行為をしたとき」に該当し指示処分の対象となります。
(質問)手付金等も高額の場合は保全措置が必要?
(回答)未完成の宅地や建築の売買に関しては、売主の宅建業者が受領しようとする手付金等の額(すでに受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の5%以下で、なおかつ1,000万円以下の場合は、保全措置(銀行等の保証を付けること)を講じることなく、受領することができます。
完成している宅地や建物の場合は、代金の額の10%以下で、なおかつ1,000万円以下であれば受領できます。
なお、未完成の物件について指定保管機関による保管の措置を講じても、銀行等による保証または保険事業者による保証保険契約をしなければ、保全措置をしたことにはなりません。
(質問)住宅ローンの返済を怠ると?
(回答)宅建業者は自ら売主となる割賦販売(分割払いのこと)契約について賦払金(分割の支払金)の支払いがない場合でも、すぐに契約を解除できません。30日以上の相当期間を定めて、買主に支払いを書面で催告し、この期間内に支払いがない場合に初めて、契約の解除をし、または残りの回の賦払金の全額請求をすることができます。
(質問)なぜ30日以上も待たなければならないの?
(回答)強い信頼関係に基づいて締結された割賦販売契約において、買主が賦払金の支払いを一日滞っただけでも期限の利益を喪失し、残額を一括して支払うことを要求されたり、契約が解除されると買主に酷に過ぎ、消費者保護の観点から問題があるので、昭和46年に導入されました。
(過去問題にチャレンジ!)
【問 題】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではないBを買主とする土地付建物の売買契約(代金3,200万円)を締結する場合に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。(2021年度問42)
1 割賦販売の契約を締結し、当該土地付建物を引き渡した場合、Aは、Bから800万円の賦払金の支払を受けるまでに、当該土地付建物に係る所有権の移転登記をしなければならない。
2 当該土地付建物の工事の完了前に契約を締結した場合、Aは、宅地建物取引業法第41条に定める手付金等の保全措置を講じなくても手付金100万円、中間金60万円を受領することができる。
3 当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を400万円とし、かつ、違約金の額を240万円とする特約を定めた場合、当該特約は無効となる。
4 当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を定めていない場合、債務の不履行による損害賠償の請求額は売買代金の額の10分の2を超えてはならない。
正解:2
1× 800万円ではなく960万円
宅建業者は、自ら売主として宅地または建物の割賦販売を行なった場合には、当該割賦販売に係る宅地または建物を買主に引き渡すまで(当該宅地又は建物を引き渡すまでに代金の額の10分の3を超える額の金銭の支払を受けていない場合にあっては、代金の額の10分の3を超える額の金銭の支払を受けるまで)に、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければなりません(宅建業法43条1項)。代金3,200万円の土地付建物の売買契約を締結する場合は、その10分の3である960万円を超える額を受領するまでに、当該土地付建物に係る所有権の移転登記をしなければなりません。
2〇 宅建業者は、宅地の造成または建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る宅地または建物の売買で自ら売主となるものに関しては、一定の手付金等の保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等(代金の全部または一部として授受される金銭および手付金その他の名義をもって授受される金銭で代金に充当されるものであって、契約の締結の日以後当該宅地または建物の引渡し前に支払われるものをいいます)を受領してはなりません。ただし、当該宅地もしくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、または当該宅建業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の100分の5以下であり、かつ、宅建業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額(1,000万円)以下であるときは、受領できます(宅建業法41条1項、同法施行令3条の3)。本問の土地付建物の工事の完了前に契約を締結した場合、自ら売主となる宅建業者Aは、3,200万円の代金の5%の額である160万円までであれば、宅建業法41条に定める手付金等の保全措置を講じなくても、受領することができます。よって、手付金100万円、中間金60万円(手付金等)を受領することができます。
3× 合計額が640万円までなら有効
宅建業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超えることとなる定めをしてはなりません。この規定に反する特約は、代金の額の10分の2を超える部分については無効とされます(宅建業法38条)。本問の土地付建物の3,200万円の代金の2割の額である640万円までであれば、違約金を含めた損害賠償予定額として有効となります。
4× 予定額を定めていない場合は20%を超えて請求できる
宅建業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超えることとなる定めをしてはなりません。この規定に反する特約は、代金の額の10分の2を超える部分については無効とされます(宅建業法38条)。当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を定めていない場合、債務の不履行による損害賠償の請求額は、実損額を請求できます(民法416条)。
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