投資 過去問

投資不動産販売員資格試験で過去に出題された問題の一部を紹介します。

1 広告・投資勧誘の基本方針に関する出題

新しい都市環境を考える会が定める広告・投資勧誘の基本方針から、3~6問出題されます。内容は、宅地建物取引業法、賃貸住宅管理業法、消費者契約法にある業務上の規制と類似しているので、並行して学習することをお勧めします。

 



【問 1】 一般社団法人新しい都市環境を考える会(以下、都環会という。)が定める「広告・投資勧誘の基本方針」に関する次の記述のうち最も適切なものはどれか。
1 不動産投資は節税対策のニーズの高まりに対応し、主に法人向けの節税商品として広がりを見せている。
2 投資用不動産を供給する事業者は、不動産投資市場の中核的な担い手として、良質な不動産ストックの形成を促進し、魅力的な都市・地域の創造を担う役割も担っている。
3 投資用不動産を供給する事業者の社会的な責任も高まっているが、業界としての持続的な発展は各事業者の努力によるべきであり、業界団体等が各取引について介入すべきでない。
4 宅地建物取引業法においてサブリース事業は規制の対象となっておらず、当該事業運営は自主規制に任されている。

正解:2

1不適切 不動産投資は資産形成のニーズの高まりに対応し、個人向けの投資、資産形成商品として周知、広がりを見せています。法人向けの節税商品として広がりを見せているとはいえません。

2適切 投資用不動産を供給する事業者は、不動産投資市場の中核的な担い手として、良質な不動産ストックの形成を促進し、魅力的な都市・地域の創造を担う役割も担っています。

3不適切 実際、近年、多数の個人投資家の参画に伴い、不動産投資の市場規模も拡大しており、不動産投資市場の社会的な認知も益々高まってきており、投資用不動産を供給する事業者の社会的な責任も高まり、業界として今後も持続的な発展を遂げていくためには、業界の健全性の向上、業界の信頼産業としての発展が、今まで以上に求められています。

4不適切 現在、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」においてサブリース事業に対する規制措置がなされており、誇大広告や不当勧誘の禁止の他、リスク等についての重要事項説明義務が法律で明記されています。




【問 2】 都環会が定める「広告・投資勧誘の基本方針」において、不適切な勧誘として禁止されている行為はいくつあるか。
ア お客様に支払われる賃料が減額される可能性がある場合において、「家賃保証はできませんが、当社の過去の実績から入居率は高いです」と伝えた。
イ サブリース事業者が行う物件の維持保全の内容、頻度、実施期間については、契約時に決めるべきであると判断し、伝えなかった。これは、都環会が定める「広告・投資勧誘の基本方針」において、不適切な勧誘として禁止されている行為である。
ウ 原状回復費用をお客様が負担する可能性がある場合において、「原状回復費用はサブリース会社が全て負担するので、入退去で大家さんが負担することはない」旨を伝えた。これは、都環会が定める「広告・投資勧誘の基本方針」において、不適切な勧誘として禁止されている行為である。
エ サブリース事業者と締結する賃貸借契約に、家賃見直しの協議で合意できなければ契約が終了する条項を定める場合はその旨を伝えたが、一定期間ごとの修繕に応じない場合には契約を更新しない条項については伝えなかった。
1 1つ  2 2つ  3 3つ  4 4つ

正解:3

ア禁止されていない お客様に支払われる賃料が減額される場合があるにもかかわらず、断定的に「当社のサブリース方式なら入居率は確実であり、絶対に家賃保証できる」旨を伝えることは、不適切な勧誘として禁止されています。本問の場合、入居率の実績と家賃保証できない旨を伝えているだけなので、上記不適切な勧誘とはいえません。

イ禁止されている サブリース事業者等の行う物件の維持保全の内容、頻度、実施期間等について、その事項を告げない、又は事実と違うことを告げることは禁止されています。

ウ禁止されている 原状回復費用をお客様が負担する場合もあるにもかかわらず、「原状回復費用はサブリース会社が全て負担するので、入退去で大家さんが負担することはない」等の内容を伝えることは、不適切な勧誘として禁止されています。

エ禁止されている サブリース契約に関して、家賃見直しの協議で合意できなければ契約が終了する条項や一定期間ごとの修繕に応じない場合には契約を更新しない条項がある場合に、これらの条項の存在について告げないことは、不適切な勧誘として禁止されています。




【問 3】 都環会が定める「広告・投資勧誘の基本方針」に関する次の記述のうち、最も適切でないものはどれか。
1 投資物件の勧誘を行う際に、所属先の宅地建物取引業者名及び勧誘者の氏名は伝えるべきであるが、勧誘をする目的である旨までは伝える必要がない。
2 お客様が契約を締結しない旨の意思を表示した場合には、引き続き勧誘を行い、又、再度勧誘を行うべきではない。
3 午後9時以降に電話又は訪問による勧誘をすることは、お客様の承認を得ている場合等を除き、避けなければならない。
4 都環会会員企業は自社の役職員に対し十分な研修を行い、知識、経験、技能の習得に努めなければならない。

正解:1


1不適切 勧誘を行う際には勧誘に先だって宅地建物取引業者の商号又は名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行うことは禁止されています。

2適切 お客様が契約を締結しない旨の意思を表示した場合に、引き続き勧誘を行い、また、再度勧誘を行うことは、禁止されています。

3適切 迷惑を覚えさせるような時間(お客様の承認を得ている場合等を除き、午後9時から午前8時までの時間帯)の電話又は訪問による勧誘をすることは禁止されています。

4適切 契約の締結をさせ、又は契約の申込の撤回若しくは解除を妨げるために、面会の強要、事実上の拘束をするなどしてお客様に不安の念を抱かせたり、深夜或いは⾧時間の勧誘やお客様が勤務中であることを知りながら執拗な勧誘を行うなどして困惑させることを禁止するのは当然のこととして、勧誘の適正を確保できるよう、会員企業は自社の役職員に対し十分な研修を行い、知識、経験、技能の習得に努めなければなりません。




【問 4】 都環会が認定する投資不動産販売員に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 宅地建物取引業者が媒介する投資不動産の売買契約においては、投資不動産販売員の資格を有する者が契約前に実施する重要事項説明(宅地建物取引業法第35条)を行えばよく、宅地建物取引士の資格を有している必要がない。
2 宅地建物取引業者が投資不動産を購入するお客様に勧誘行為を行う場合、その担当者は投資不動産販売員の資格を有する者であることが望ましい。
3 お客様が購入した投資不動産の管理業務の委託を受けたサブリース業者が、日常の管理業務を行う際は、投資不動産販売員の資格を有する者にさせる必要がある。
4 宅地建物取引士及び賃貸不動産経営管理士の資格を有する者は、都環会が実施する試験を受けることなく、投資不動産販売員の資格登録を行うことができる。


正解:2


1不適切 宅建業者が、売買契約を媒介することを業として行う場合、宅地建物取引士に契約前の重要事項説明を行わせなければなりません(宅地建物取引業法35条)。投資用不動産販売員の資格だけでは要件を満たしません。

2適切 宅地建物取引業者が投資不動産を購入するお客様に勧誘行為を行う場合、その担当者は投資用不動産販売員の資格を有する者であることが望ましいです。

3不適切 投資用不動産販売員にさせる義務はありません。なお、本問の業務は賃貸管理業務になります。

4不適切 宅地建物取引士や賃貸不動産経営管理士であっても、投資用不動産販売員ではありません。


2 宅地建物取引業法

宅地建物取引業法からは7~8問程度出題されています。特に、重要事項説明書、37条書面、広告規制、勧誘行為の規制等の業務上の規制、自ら売主制限がよく出題されています。

 

【問 1】 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aが、自社のインターネット上の動画サイトを利用して行う広告は、新聞の折込チラシや配布用のチラシと異なり宅地建物取引業法の規制の対象とならない。
2 宅地建物取引業者Aが、建築予定の賃貸マンションの管理を依頼され、当該マンションの部屋の貸借の媒介をする場合、建築基準法第6条第1項の建築確認を受けるまでは、当該マンションの広告をすることができない。
3 Aは、不注意で、取引態様の別について電車内で放映する宣伝動画に明示し忘れたが、広告を見た者が来店した際に明示すれば、宅地建物取引業法に違反することはない。
4 Aが行う広告については、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示であっても、誤認した者がAに対して損害賠償を請求しなければ、監督処分の対象とならない。

正解:2

1× 広告の媒体は、新聞の折込チラシ、配布用のチラシ、新聞、雑誌、テレビ、ラジオまたはインターネットのホームページ等種類を問いません(宅建業法32条、宅地建物取引業の解釈・運用の考え方)。ユーチューブのような動画チャンネルでの広告番組であっても適用されます。

2○ 宅建業者は、宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる許可や確認等があった後でなければ、当該工事に係る宅地または建物の売買その他の業務に関する広告をしてはなりません(宅建業法33条)。この広告開始時期の制限は、宅地建物の貸借の媒介・代理の場合にも適用されます。

3× 宅建業者は、広告をするときには必ず取引態様の別を明示しなければなりません(宅建業法34条)。たとえ来店したときに明示したとしても宅建業法違反となります。

4× 広告について、実際のものよりも著しく優良または有利であると人を誤認させるような表示があれば、誤認による損害が実際に発生していなくても、監督処分の対象になります(宅建業法32条、65条2項、66条1項)。誇大広告をしたこと自体が問題であり、今後の取引の公正を確保するためです。

 

【問 2】 宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第35条に定める重要事項説明に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 宅地建物取引業者でない売主と宅地建物取引業者である買主が、媒介業者を介さず宅地の売買契約を締結する場合、宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明をする必要はない。
イ 建物の管理が管理会社に委託されている当該建物の賃貸借契約の媒介をする宅地建物取引業者は、当該建物が区分所有建物であるか否かにかかわらず、その管理会社の商号又は名称及びその主たる事務所の所在地を、借主に説明しなければならない。なお、借主は宅地建物取引業者ではないものとする。
ウ 区分所有建物の売買において、売主が宅地建物取引業者である場合、当該売主は当該買主に対し、当該一棟の建物に係る計画的な維持修繕のための修繕積立金積立総額及び売買の対象となる専有部分に係る修繕積立金額の説明をすれば、滞納があることについては説明をしなくてもよい。なお、買主は宅地建物取引業者ではないものとする。
エ 区分所有建物の売買において、売主及び買主が宅地建物取引業者である場合であっても、当該売主は当該買主に対し、法第35条の2に規定する供託所等の説明をしなければならない。
1.一つ  2.二つ  3.三つ  4.四つ

正解:2

ア○ 宅建業者は、取引の相手方等に対して、契約が成立するまでの間に、取引士をして、一定の事項について、これらの事項を記載した書面等を交付して説明をさせなければなりません(宅建業法35条1項)。売主が業者でなく、売主に媒介業者が介在しない場合は、説明義務がありません。

イ○ 宅建業者は、建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)を、重要事項として説明しなければなりません(宅建業法35条1項6号、同施行規則16条の2第8号、宅建業法35条1項14号、同施行規則16条の4の3第12号)。この内容は、区分所有建物の場合は買主にも借主にも説明が必要です。区分所有建物以外の場合は借主だけです。

ウ× 宅建業者は、一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約(これに類するものを含む。)の定め(その案を含む。)があるときはその内容及び既に積み立てられている額を、説明しなければなりません(宅建業法35条1項6号、同施行規則16条の2第6号)。この内容は、貸借の契約以外の契約で説明しなければなりません。修繕積立金等についての滞納があるときはその額も告げなければなりません。

エ× 宅建業者は、取引の相手方等に対して、その契約が成立するまでの間に、営業保証金や弁済業務保証金の供託所等の説明をする必要があります(宅建業法35条の2)。しかし、買主が宅建業者である場合には説明を省略することができます。

 

【問 3】 宅地建物取引業者Aが行う宅地建物取引業法第37条に規定する書面(本問において「37条書面」という。)の交付に関する次の記述のうち誤っているものはどれか。なお、本問において宅地建物取引業法を「法」という。
1 Aは、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結した際、Bとの間で法第41条の2に規定する手付金等の保全措置を講じていた場合、37条書面には当該措置の内容を記載する必要がない。
2 宅地建物取引業者Aは、自ら売主として宅地建物取引業者でないC社との間で建物の売買契約を締結した場合、C社において本件契約の任に当たっている者の氏名を、37条書面に記載しなければならない。
3 Aは、建築工事完了前の建物の売買を媒介し、契約を締結させた場合において、法第35条の規定に基づく重要事項の説明において使用した当該建物を特定するために必要な図書があれば、37条書面には直接記載せず、当該図書を交付すればよい。
4 Aは、自ら売主として宅地建物取引業者でないDとの間で建物の売買契約を締結した際、Dとの間で、もしDが現在住んでいる自宅を一定の金額以上で売却できなかった場合、Dは本件契約を無条件で解除できる旨を特約したときは、37条書面にその内容を記載しなければならない。

正解:2

1○ 手付金等の保全措置は、37条書面の記載事項ではありません(宅建業法37条1項)。なお、この内容は重要事項説明書面には記載しなければなりません(宅建業法35条1項10号)。

2× 37条書面には、当事者の氏名(法人の場合はその名称)を記載しなければなりません(宅建業法37条1項1号)。しかし、その法人において契約の任に当たっている者の氏名を記載する必要はありません。

3○ 宅地建物を特定するために必要な表示について書面で交付する際、工事完了前の建物については、重要事項の説明の時に使用した図書を交付することにより行うものとされています(宅建業法37条1項2号、宅地建物取引業の解釈・運用の考え方 37条1項2号関係)。

4○ 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容を、必ず37条書面に記載しなければなりません(宅建業法37条1項7号)。本問における売買契約に解除事由を示して解除権を留保する定めは、契約の解除に関する定めと判断されます。したがって、Aは、定めがある以上、37条書面にその内容を記載しなければなりません。

 

【問 4】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約について、Bが宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 買受けの申込みがBの勤務先のビル内の喫茶店で行われ、売買契約がAの事務所において行われた場合には、Bはクーリング・オフによる当該契約の解除をすることができない。
2 買受けの申込みが、宅地建物取引業者Aの事務所で行われ、売買契約がその10日後にBの経営する喫茶店で締結された場合には、Bはクーリング・オフによる当該契約の解除をすることができない。
3 Bが適法にクーリング・オフによる当該契約の解除を主張した場合、Aは受領していた手付金、その他の金銭を返還しなければならないが、特約があれば、損害賠償又は違約金の支払いをBに請求できる。
4 買受けの申込みがホテルの喫茶店で行われ、売買契約がAの事務所において行われた場合であっても、Aが、Bに対してクーリング・オフによる当該契約の解除をすることができる旨を口頭で告げ、告げられた日から8日が経過すれば、Bはクーリング・オフによる当該契約の解除をすることができない。

正解:2

1× 事務所等以外の場所において買受けの申込みをし、事務所等において売買契約が締結された場合には、宅地建物取引業法37条の2により契約を解除することができます。

2○ 事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主は買受けの申込みの撤回等を行うことができません。

3× 買受けの申込みの撤回が行われた場合でも、宅地建物取引業者は損害賠償または違約金の支払いを請求することはできません。これに反する特約があったとしても、その特約自体が無効となります。

4× 買主に対して買受けの撤回等を行うことができる旨を「書面」で告げ、その告げられた日から8日を経過すると、申込みの撤回等ができなくなります。口頭ではこの要件を満たしません。

 

3 賃貸住宅管理業法

賃貸住宅管理業法から5問程度出題されています。特に、賃貸住宅の定義、重要事項説明(管理受託契約と特定賃貸借契約の両方が出題)、特定賃貸借契約、サブリースにおける勧誘行為の規制が重要です。

 

【問 1】 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、「賃貸住宅管理業法」という。)に関する次の記述のうち、正しい記述はどれか。
1 賃貸住宅の賃貸人から委託を受けていない場合であっても、賃貸住宅管理業法における賃貸住宅管理業に該当する場合がある。
2 マンションのように通常居住の用に供される一棟の家屋の一室について賃貸借契約を締結する場合は、事務所としてのみ賃貸されているときであっても、その一室は、賃貸住宅管理業法における賃貸住宅に該当する。
3 いわゆるウィークリーマンションは、旅館業法第3条第1項の規定による許可を受け、旅館業として宿泊料を受けて人を宿泊させている場合であっても、賃貸住宅管理業法における賃貸住宅に該当する。
4 賃貸住宅管理業法は、賃貸住宅の所有者の賃料収益の確保及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の公正かつ円滑な実施を図るため、成立した法律である。

正解:1

1〇 賃貸住宅管理業とは、賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて、当該委託に係る賃貸住宅の維持保全を行う業務や、それに併せて行う当該賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理業務をいいます(賃貸住宅管理業法2条2項)。「委託を受けて」とは、賃貸人から明示的に契約等の形式により委託を受けているか否かに関わらず、本来賃貸人が行うべき賃貸住宅の維持保全を、賃貸人からの依頼により賃貸人に代わって行う実態があれば、「賃貸住宅管理業」に該当することとなります。したがって、委託を受けていない場合でも賃貸住宅管理業に該当する場合はあります。

2× 賃貸住宅管理業法において「賃貸住宅」とは、賃貸の用に供する住宅(人の居住の用に供する家屋または家屋の部分)をいいます(賃貸住宅管理業法2条1項本文)。マンションのように通常居住の用に供される一棟の家屋の一室について賃貸借契約を締結し、事務所としてのみ賃借されている場合、その一室は賃貸住宅に該当しません。

3× ウィークリーマンションについては、旅館業法3条1項の規定による許可を受け、旅館業として宿泊料を受けて人を宿泊させている場合、賃貸住宅には該当しません。

4× 賃貸住宅管理業法は、社会経済情勢の変化に伴い国民の生活の基盤としての賃貸住宅の役割の重要性が増大していることに鑑み、賃貸住宅の入居者の居住の安定の確保及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の公正かつ円滑な実施を図るため、賃貸住宅管理業を営む者に係る登録制度を設け、その業務の適正な運営を確保するとともに、特定賃貸借契約の適正化のための措置等を講ずることにより、良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図り、もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的として、2020年6月に成立しました(賃貸住宅管理業法1条)。

 

【問 2】 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第13条に基づく管理受託契約の締結前の書面の交付及び説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、管理業務を委託しようとする賃貸住宅の賃貸人に対し、当該管理受託契約を締結するまでに、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項について、業務管理者をして、書面を交付して説明させなければならない。
2 管理受託契約重要事項説明は、賃貸人から委託を受けようとする賃貸住宅管理業者自らが行う必要はないが、賃貸住宅管理業に関する専門知識を有する者が担当しなければならない。
3 管理受託契約重要事項説明は、その相手方が賃貸住宅管理業者及び特定転貸事業者の場合は省略することができるが、宅地建物取引業者の場合は省略することができない。
4 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第13条に基づく管理受託契約前の重要事項説明すべき事項には、管理業務の一部の再委託に関する事項があり、再委託することとなる業務の内容、再委託予定者も記載する必要がある。

 

正解:4

 

1× 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、管理業務を委託しようとする賃貸住宅の賃貸人(賃貸住宅管理業者である者その他の管理業務に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものを除く。)に対し、当該管理受託契約を締結するまでに、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならなりません(賃貸住宅管理業法13条1項)。業務管理者に担当させる義務はありません。

2× 管理受託契約重要事項説明は、賃貸人から委託を受けようとする賃貸住宅管理業者自らが行う必要があります。なお、重要事項説明は、業務管理者または一定の実務経験を有する者など専門的な知識及び経験を有する者によって行われることが望ましいとされています。

3× 重要事項説明は、その相手方が、賃貸住宅管理業者である者その他の管理業務に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものに対しては省略することができます(賃貸住宅管理業法13条1項)。具体的には、①賃貸住宅管理業者、②特定転貸事業者、③宅地建物取引業者、④特定目的会社、⑤組合、⑥賃貸住宅に係る信託の受託者(委託者等が①~④までのいずれかに該当する場合に限る)、⑦独立行政法人都市再生機構、⑧地方住宅供給公社です。

4〇 重要事項説明事項には、管理業務の一部の再委託に関する事項があります(賃貸住宅管理業法施行規則31条)。賃貸住宅管理業者は、管理業務の一部を第三者に再委託することができることを事前に説明するとともに、再委託することとなる業務の内容、再委託予定者を事前に明らかにしなければなりません。

 

【問 4】 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律における特定転貸事業者が行う広告内容に関する次の記述のうち、同法第28条に定める誇大広告等に該当する可能性の高いものはどれか。
1 「空室保証」と記載し、そのすぐ下に「ただし、1年毎に家賃の見直しを致します。また、借地借家法第32 条の規定に従い、弊社より賃料減額請求する場合もございます。」と記載した。
2 グループ企業と連携して24時間スタッフが対応できる体制を整えた上で、「弊社では入居者専用フリーダイヤルコールセンターを設け、入居者様に万が一のトラブルが発生しても24時間対応しスピーディーに解決します」と記載した。
3 先見性があると業界でも評判の社長の経験と勘により、「維持保全の費用は他社の半分程度で済みます」と記載した。この行為は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第28条に定める誇大広告等に該当する可能性が高い。
4 世の中には借地借家法についての詳しい知識がないオーナーも多数存在するにもかかわらず、「オーナーである賃貸人から特定賃貸借契約を解約する場合は、借地借家法上の正当事由がなければ解約できません」と記載した。

正解:3

1高くない 広告において「家賃保証」「空室保証」など、空室の状況にかかわらず一定期間、一定の家賃を支払うことを約束する旨等の表示を行う場合は、「家賃保証」等の文言に隣接する箇所に、定期的な家賃の見直しがある場合にはその旨及び借地借家法第32 条の規定により減額されることがあることを表示しなければなりません。表示に当たっては、文字の大きさのバランス、色、背景等から、オーナー等が一体として認識できるよう表示されているかに留意しなければなりません。したがって、本問の広告は誇大広告になる可能性は低いといえます。

2高くない 実際は休日や深夜は受付業務のみ、または全く対応されないにもかかわらず、「弊社では入居者専用フリーダイヤルコールセンターを設け、入居者様に万が一のトラブルも 24時間対応しスピーディーに解決します」といった表示をすると誇大広告等に該当します。したがって、本問のようにその体制を整えているのであれば、その可能性は低いといえます。

3高い 実際には客観的な根拠がないにもかかわらず、「維持保全の費用は他社の半分程度で済みます」といった表示をすると誇大広告になる可能性が高いです。したがって、社長の経験と勘でそのような表示をすると誇大広告になる可能性が高いといえます。

4高くない 実際には借地借家法が適用され、オーナーからは正当事由がなければ解約できないにもかかわらず、「いつでも自由に解約できます」と表示することは誇大広告になる可能性が高いです。したがって、その旨を広告に記載して、解約できる旨を記載することは、誇大広告になる可能性が低いといえます。

 

4 投資物件の販売

投資物件の販売からは7~8問程度出題されています。民法における所有権・共有・物権変動、債務不履行責任、売主の契約不適合責任、不法行為(工作物責任)、保証債務、抵当権、建物の区分所有等に関する法律が重要です。また、宅地建物取引業法における自ら売主制限との関係性も理解してください。

 

 

【問 1】 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、同法によれば正しいものはどれか。
1 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、規約で別段の定めがあるときを除き、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができる。
2 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定、変更、又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者全員の承諾を得なければならない。
3 建物の区分所有等に関する法律によれば、最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、建物の共用部分を定める規約を設定することができる。
4 規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならないが、集会の議事録の保管場所については掲示を要しない。

正解:3

1× 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができません。ただし、規約に別段の定めがあるときは、例外として処分することができます(建物区分所有法22条1項)。本問の内容は、この原則と例外が逆になっているので誤りです。

2× 一部共用部分に関する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更、または廃止は、一部共用部分区分所有者の1/4を超える者または一部共用部分区分所有者全体で有する議決権の1/4を超える議決権を持つ者が反対したときはすることができません(建物区分所有法31条2項)。3/4以上の賛成が必要とすると厳格になりすぎて円滑に規約の設定・変更ができなくなるため、一部区分所有者の人数・議決権の1/4を超える積極的な反対がなければ、つまり、賛成も反対もしない者を含めて反対しない者が3/4以上あれば、規約の設定・変更ができるようにしています。全員の承諾を得なければならないわけではありません。

3○ 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、①建物の占有部分および付属の建物を規約によって共用部分とする旨(建物区分所有法4条2項)、②区分所有者が建物および建物が所在する土地と一体として管理または使用をする庭、通路その他の土地を、規約によって建物の敷地とする旨(同法5条1項)、③敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合でも、区分所有者が、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを、規約によって分離して処分できる旨(同法22条1項但書)、④区分所有者が数個の専有部分を所有する場合において、各専有部分に係る敷地利用権の割合を、占有部分の床面積の割合ではなく、規約でこれと異なる割合を定める旨を設定することができます(同法32条)。本問の場合は、①にあたります。

4× 議事録の保管者は、議事録の保管場所を、区分所有者や利害関係人が容易にわかるように、建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません(建物区分所有法33条3項、同法42条5項)。




【問 2】 Aが、Bから B所有の土地付中古建物(本問では本物件という。)を買い受けて引渡しを受けたが、建物の構造部分について耐震上の重大な欠陥があった。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。なお、契約不適合責任について特約はないものとする。
1 Aは、この欠陥の存在を知って契約を締結していた場合、契約不適合責任を追及して契約を解除することはできないが、損害賠償を請求することはできる。なお、Bには何ら落ち度がなかった。
2 Aが、Bから B所有の土地付中古建物を買い受けて引渡しを受けたが、建物の構造部分について耐震上の重大な欠陥があった。Aが、本物件についての耐震性能を特に重視している旨をBに表示した上で購入していた場合であっても、B及び媒介業者による本物件の耐震性について説明をよく聞かなかった等、Aに重大な過失があったときは、Aは売買契約を解除することも、錯誤に基づき取り消すこともできない。なお、Bには何ら落ち度がなく、また、契約不適合責任について特約はない。
3 Aが、本物件の欠陥に気付かず契約を締結し、契約日から2年が経過したときに欠陥に気付いた場合、Aは、Bに対して、契約不適合責任に基づき改修工事を要求することはできないが、損害賠償を請求することはできる。なお、Bには何ら落ち度がなかった。
4 AB間の売買契約が、宅地建物取引業者であるCの媒介により契約締結に至ったものである場合、Aは、Bに対して契約不適合を理由に改修工事を要求できるのであれば、Cに対しても同理由で改修工事を要求できる。

正解:2

1× 引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、債務不履行に基づく損害賠償の請求及び解除権を行使することができます(民法564条)。債務不履行に基づく解除権の行使の場合は、買主に帰責事由があるとできません(民法543条)。しかし、買主が悪意であるからといって帰責事由があると直ちに判断できるものではありません(判断する要素の1つになります)。それに対して、債務不履行に基づく損害賠償の請求の場合は、売主に帰責事由がなければ、責任追及できません(民法415条)。したがって、Bに何ら落度がなかった場合は、損害賠償の請求はできません。

2○ 売買の目的物について当事者が一定の品質を有することを重視してそれを表示したのに、その品質を欠く契約内容に適合しない重大な欠陥があった場合には、買主は、法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤)として、契約を取り消すことができます(民法95条)。また、買主がそのような動機を表示しなかった場合でも、契約不適合責任に基づき契約を解除することができます(民法564条・541条・542条)。ただし、錯誤による取消権は、表意者(買主)に重大な過失があった場合、原則として行使できません。また、契約不適合に基づく解除権は、債権者(買主)に帰責事由があった場合、行使できません(民法543条)。なお、「帰責事由」とは故意・過失・信義則上これと同視される事由をいいます。したがって、Aは、重大な過失があった場合、契約を解除することも、錯誤に基づき取り消すこともできません。

3× 売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、原則として、その不適合を理由として、履行の追完(目的物の修補等)の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができません(民法566条)。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、または重大な過失によって知らなかったときは、これらの責任を追及できます。本問の場合、Aは、不適合を知ってから1年経っていなければ、Bに対して、契約不適合責任に基づき改修工事を請求することはできます。しかし、損害賠償請求は、Bに帰責事由がないのでできません。

4× 契約不適合責任は、売買契約において売主が負うものです。媒介業者は売主ではないので、契約不適合の物件を媒介したからといって契約不適合責任を負うことはありません(媒介契約に基づく債務不履行責任を負うことはあります)。したがって、AはCに対して契約不適合を理由に改修工事(追完請求)を要求できません。




【問 3】 抵当権が設定され登記がなされたA所有の甲建物について、その抵当権が実行され競売によりBが買い受けた場合において、抵当権設定登記後に甲建物を賃借し引渡しを受けているCとの法律関係に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものの組合せはどれか。
ア Cは、Bから明渡しを要求された場合、3月以内に退去しなければならない。
イ 抵当権が設定され登記がなされたA所有の甲建物について、その抵当権が実行され競売によりBが買い受けた。抵当権設定登記後に甲建物を賃借し引渡しを受けているCの賃借権が、Aの滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても、Cは、Bの買受けの時から6月を経過するまでは、甲建物をBに引き渡す義務がない。
ウ Cは、Bから明渡しを要求された場合、Aに対して有していた敷金返還請求権を、Bに対して行使できる。
エ 抵当権が設定され登記がなされたA所有の甲建物について、その抵当権が実行され競売によりBが買い受けた。抵当権設定登記後に甲建物を賃借し引渡しを受けているCは、一定期間甲建物の引渡しを猶予されるが、Bに対して、買受の時より後に甲建物の使用をしたことの対価を払わなければならない。
1.ア、ウ  2.イ、ウ  3.イ、エ  4.ウ、エ

正解:3


1× 抵当権に対抗することができない賃貸借であっても、競売の買受人の買受けの時から6カ月を経過するまでは、建物を買受人に引き渡す必要がありません(民法395条1項)。なお、抵当権に対抗できるかどうかの判断は、抵当権設定登記と賃貸物件の引渡しの先後で決します。

2〇 抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が担保不動産競売により売却された場合において、その競売手続の開始前から当該賃借権により建物の使用又は収益をする者は、当該賃借権が滞納処分による差押えがされた後に設定されたときであっても、民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」に当たります(最決平成30年4月17日)。つまり、その建物の競売における買受人の買受けの時から6カ月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡す必要がありません(民法395条1項)。

3× 建物明渡猶予制度においては、買受人が貸主の地位を承継するものではないので、買受人は、6カ月間は建物の明渡しを求めることができませんが、抵当建物使用者に対する敷金返還義務はありません。したがって、Cは、敷金返還請求権をBに対して行使できません。

4〇 抵当建物使用者は、6カ月間引渡しを猶予されますが、買受人に対して、買受けの時より後に建物の使用をしたことの対価を支払わなければなりません。したがって、Cは、Bに対して、買受の時より後に甲建物の使用をしたことの対価を払わなければなりません。
以上により、イとエが正しく正解は3となります。




【問 4】 BはAに対する貸金債務を担保する目的で自己所有の甲建物に抵当権を設定し、その旨の登記をした。その後、BはCとの間で甲建物の賃貸借契約を締結し引渡しをした場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 抵当権が設定された場合でも、甲建物を使用する権利はBにあるので、Aは抵当権の効力としてCに対して直接自己への甲建物の明渡しを求める余地はない。
2 抵当権が設定された場合でも、甲建物を使用する権利はBにあるが、Cに甲建物を引き渡す際は、BはAに対して書面にてその旨を通知しなければならない。
3 抵当権が設定された場合でも、甲建物を使用する権利はBにあるが、Bが適正賃料額を大幅に下回る賃料でCに賃貸し、その結果、AがBから貸金債権を回収できなくなったときは、Cの占有を不法行為とみなして、Aは、Cに対して賃料相当損害金の支払いを請求できる。
4 BはAに対する貸金債務を担保する目的で自己所有の甲建物に抵当権を設定し、その旨の登記をした。その後、BはCとの間で甲建物の賃貸借契約を締結し引渡しをした。この場合でも、甲建物を使用する権利はBにあるが、Aは抵当権の効力としてBのCに対する甲建物の賃料債権に物上代位することができる。

正解:4

1× 抵当権設定登記後に、抵当不動産の所有者から賃貸借契約に基づいて占有する者についても、その占有権原の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、その占有により抵当権不動産の交換価値の実現が妨げられて、抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者はこの占有者に対して抵当権に基づく妨害排除請求として、この状態の排除を求めることができます。また、抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができます(最判平成17年3月10日)。したがって、AはCに対して直接自己に明渡しを求める余地があります。

2× 抵当不動産を賃貸する際に、抵当権者に通知しなければならないという規定はありません。

3× 抵当権者は、抵当不動産に対する第三者の占有により賃料額相当の損害を被るものではありません。なぜなら、抵当権者は、抵当不動産を自ら使用することはできず、民事執行法上の手続等によらずにその使用による利益を取得することもできないし、また、抵当権者が抵当権に基づく妨害排除請求により取得する占有は、抵当不動産の所有者に代わり抵当不動産を維持管理することを目的とするものであって、抵当不動産の使用及びその使用による利益の取得を目的とするものではないからです(最判平成17年3月10日)。したがって、Aは、Cに対して、賃料相当損害金の支払いを請求できません。

4○ 抵当権者は、抵当不動産の賃料債権に対して抵当権を行使することができます(民法372条・304条)。

 

 

5 賃貸借契約から生じる権利義務

賃貸借契約から生じる権利義務からは5~7問程度出題されています。民法の賃貸借と借地借家法、賃貸住宅管理業法における特定賃貸借契約とサブリース関係とかなり広い分野からの出題となるので、しっかりと腰を据えた学習が必要となります。

 

【問 1】 賃貸借契約における修繕義務に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば最も適切なものはどれか。
1 賃貸借契約における必要費は、現状を維持するための費用をいい、賃貸不動産を通常の用法に適する状態において保存するために支出した費用も含む概念である。
2 必要費償還請求権の規定は、民法上、強行規定とされており、借主に不利な内容の特約を定めることは禁止されている。
3 賃貸借契約における有益費の償還範囲は、借主が支出した金額または対象物の価値の増加額であり、貸主はいずれか高いほうを選択しなければならない。
4 造作買取請求権の規定は任意規定ではあるが、特約を定めることで買取時期を制限することはできても、権利行使を排除することはできない。

正解:1

1適切 賃貸不動産を通常の用法に適する状態において保存するために支出された費用も含む概念です(民法608条1項)。

2不適切 必要費償還請求権は民法上任意規定とされています(民法608条1項、判例)。したがって、借主に不利な内容の特約を定めることも禁止されていません。

3不適切 有益費の償還範囲は借主が支出した金額または対象物の価値の増価額となり、貸主はいずれか低い方を選択することができます(民法608条2項)。

4不適切 造作買取請求権の規定は任意規定です(借地借家法33条、37条)。買取請求権の行使を排除する特約も有効です。

 

【問 2】 建物賃貸借契約の更新に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば最も適切なものはどれか。
1 賃貸借契約が合意更新されれば、従前の賃貸借契約関係が継続するが、賃貸条件については合意により約定することができる。
2 建物賃貸借契約に更新料の支払いについて特約を定めた場合であっても、その額が賃料の2カ月分に相当する額を超えない限り、当該特約は有効である。
3 法定更新における正当事由については、借地借家法に具体的な規定は存在せず、その基準はすべて裁判官の裁量による。
4 貸主が借地借家法に従い更新しない旨の通知をした場合でも、期間満了後に借主が物件をそのまま継続して使用したときは、契約は更新されたものとみなされ、期間2年間の賃貸借契約となる。

正解:1

1適切 契約が合意更新されれば、従前の賃貸借契約関係が継続します。ただし、賃貸条件については契約当事者間の合意により約定することも可能です。

2不適切 賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料の支払を約する条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には該当しないので有効です(最判平成23年7月15日)。賃料の2カ月分に相当する額という基準は特にありません。

3不適切 借地借家法28条に一定の基準を示す規定があります。すなわち、「建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」と定め一定の基準を示しています。

4不適切 期間満了時に、貸主が遅滞なく異議を述べれば契約は終了します。仮に、異議を述べなかった場合でも、更新は期間の定めのないものとなり、2年間の賃貸借契約となるわけではありません(借地借家法26条1項、2項)。




【問 3】 BがA所有の甲アパート101号室をAから賃借し、Cに転貸している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。
1 BがA所有の甲アパート101号室をAから賃借し、Cに転貸している。Bが賃料を支払わない場合、AはCに催告せずとも、Bに対し催告をすることによって、賃貸借契約を解除することができる。
2 CがBに対して賃料の前払いをしている場合、BがAに対して賃料を支払わないことを理由にAから賃料の支払い請求を受けても、CはAからの請求を拒絶することができる。
3 AB間の賃貸借契約における賃料が月額10万円、BC間の転貸借契約における賃料が月額12万円の場合、CはAに対して月額12万円の賃料支払義務を負う。
4 Aが甲アパート101号室の所有権をDに譲渡した場合、Bの承諾がなければAB間の賃貸借契約における貸主の地位はDに移転しない。

正解:1

1〇 原賃貸借契約を賃借人(転貸人)の債務不履行を理由として賃貸借契約を解除するには、賃借人(転貸人)に対して催告すれば足り、転借人に対して催告することまでは要件となっていません(最判昭和49年5月30日)。したがって、AはCに対して催告をせずに、AB間の契約を解除することができます。

2× 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負います。この場合、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができません(民法613条)。したがって、CはAからの請求を拒絶することができません。

3× 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負います(民法613条1項)。ただし、賃貸人が転借人に請求できる賃料額については制約があります。第1に、賃借料より転借料が高くても、賃借料の額だけしか請求できません。第2に、賃借料が転借料より高くても、賃貸人は転借料の額だけしか請求できません。したがって、CはAに対して月額10万円の賃料支払義務を負います。

4× 賃貸建物を売却した場合は、賃貸借契約における貸主の地位は、当然に旧所有者から新所有者に引き継がれ、その結果、新所有者と借主とが賃貸借の関係に立つことになります。その際、借主の承諾は不要です。したがって、Bの承諾がなくてもAB間の賃貸借契約における貸主の地位はDに移転します。

 

【問 4】 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月国土交通省住宅局公表。以下、各問において「ガイドライン」という。)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 ガイドラインによれば、賃貸人と賃借人が賃貸借契約時に原状回復工事施工目安単価を明記して、原状回復条件をあらかじめ合意した場合、退去時にこの単価を変更することはできない。
2 ガイドラインでは、新築物件の賃貸借ではない場合、経過年数のグラフを、入居年数で代替する方式を採用している。
3 ガイドラインでは、原状回復は、毀損部分の復旧ではあるが、建物の性質上毀損部分に限定することなく、全面的な改修を行うことを基本としている。
4 ガイドラインによれば、壁等のクロスは、㎡単位で張替え費用を借主に負担させるべきであり、毀損箇所を含む一面分を賃借人に負担させることはできない。

正解:2

1不適切 ガイドラインによれば、退去時において、資材の価格や在庫状況の変動、毀損の程度や原状回復施工方法等を考慮して変更となる場合があるとされています。

2適切 設備等によって補修・交換の実施時期はまちまちで、これらの履歴を貸主や管理業者等が完全に把握しているケースは少ないこと、入居時に経過年数を示されても借主としては確認できないこと、一方で借主がその物件に何年住んでいたのかという入居年数は、契約当事者にとっても管理業者等にとっても明確でわかりやすいからです。

3不適切 ガイドラインでは、原状回復は、毀損部分の復旧であることから、可能な限り毀損部分に限定し、毀損部分の補修工事が可能な最低限度を施工単位とすることを基本としています。

4不適切 ガイドラインによれば、壁紙等のクロスの張替えについて、㎡単位で借主負担が望ましいとしながらも、一面分を負担することも否定していません。



6 投資ローンの適切な利用

投資ローンの適切な利用に絡む出題は5問程度です。

 

【問 1】 不動産投資ローンと住宅ローンに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 不動産投資ローンと住宅ローンは借入枠の違いだけであり、両者を組み合わせて投資物件を購入することは一般によく行われている。
2 不動産投資目的であっても、返済期間のうち20%以上の期間自ら居住するのであれば、住宅ローンによる融資を受けることができる。
3 住宅ローンの返済原資は、一般的には、毎月の給与収入であり、不動産投資ローンの返済原資は毎月の家賃収入である。
4 一般に、住宅ローンより不動産投資ローンのほうが、融資金額の上限は低額になり、金利は低くなるのが一般的である。

正解:3


1不適切 住宅ローンで投資物件を購入することはできません。また、両者には借入枠以外にも多くの相違点があります。

2不適切 住宅ローンは、自宅の購入や増改築に充てるためのローンです。借り入れする本人が居住する自宅にかける費用を補填することを目的とします。賃貸経営を目的とした物件の購入費用には使えません。

3適切 "住宅ローンと不動産投資ローンでは、何を返済原資とするかにも違いがあります。返済原資とは、借入金の返済にあてる資金のことです。住宅ローンの返済原資は、一般的には毎月の給与収入です。住宅用のローンである住宅ローンでは、個人の労働による収入から返済原資を捻出します。 住宅ローンは、あくまで個人の消費にかかわるローンです。返済原資の考え方は、ほかの個人向けローンと基本的に変わりません。 一方で不動産投資ローンの場合、返済原資は毎月の家賃収入です。収益用不動産のためのローンである不動産投資ローンでは、賃貸経営によって入居者から得られる家賃収入から返済原資を捻出します。個人の投資家であっても、賃貸経営という事業をすることが前提です。"

4不適切 住宅ローンより不動産投資ローンのほうが、融資金額の上限は高額です。個人に対する融資なのか、事業をする投資家に対する融資なのかという違いと言えます。また、住宅ローンと不動産投資ローンでは、融資金額だけでなく融資の金利についても違いがあります。住宅ローンよりも不動産投資ローンのほうが、金利は高くなるのが一般的です。この違いは、貸し倒れのリスクの差によります。




【問 2】 国土交通省が公表する「不動産分野の社会的課題に対応するESG投資促進検討会 中間とりまとめ」(令和4年3月30日)によれば、最も適切でない記述はどれか。
1 環境や社会を巡る様々な課題に向けた取組により成長を実現し、中長期的に安定したリターンを目指すESG投資の主流化が進む中、投資家が投資先に対してESG要素への配慮を求める動きが年々強まっている。
2 我が国では、E(環境)分野では気候変動対応など、S(社会課題)分野では、少子高齢化への対応や自然災害への備え、地域活性化、多様な働き方・暮らし方の実現等、我が国の実情を映した様々な課題があり、ESG投資が世界的な潮流になる中、我が国においても、ESG投資により課題解決につながる取組が広がることが期待されている。
3 ESG投資におけるS(社会課題)分野は、E(環境)分野のようにインパクトの評価対象や評価手法、それらの情報開示の枠組みが十分に整理されていないため、事業者が取組みやすく、投資家や金融機関等にとっても投資判断しやすい環境整備を行うことが必要である。
4 機関投資家によるESG投資と投資先企業のSDGsへの取組は、利益が相反する内容となり、どちらを優先するのかが今後の課題となっている。

正解:4


適切 環1境や社会を巡る様々な課題に向けた取組により成長を実現し、中長期的に安定したリターンを目指すESG(E:環境・S:社会・G:ガバナンス)投資の主流化が進む中、投資家が投資先に対してESG要素への配慮を求める動きが年々強まっています。また、2030年のSDGs(持続可能な開発目標)達成に向け、取組をより効果的に進めるためには、環境や社会にポジティブなインパクトを予め設定し、これを評価して、誘導していく「インパクト投資」を、ESG投資の発展型に位置づけ、取り組みを進めて行くことが重要です。

2適切 我が国では、E(環境)分野では気候変動対応など、S(社会課題)分野では、少子高齢化への対応や自然災害への備え、地域活性化、多様な働き方・暮らし方の実現等、我が国の実情を映した様々な課題があります。ESG投資が世界的な潮流になる中、我が国においても、ESG投資により課題解決につながる取組が広がることが期待されます。

3適切 不動産は実物資産という特性上、地域社会や人々の働き方・暮らし方などに強い関わりを持ち、それらに大きな影響を与えることから、不動産分野において社会課題に対応した取組が求められております。しかしながら、ESG投資におけるS(社会課題)分野は、E(環境)分野のようにインパクトの評価対象や評価手法、それらの情報開示の枠組みが十分に整理されていないため、事業者が取組みやすく、投資家や金融機関等にとっても投資判断しやすい環境整備を行うことが必要です。また、評価を明確化することにより、新たな個人・企業等が能動的に投資に参加する機会の創出が期待されます。

4不適切 "SDGsに賛同する企業が17の項目のうち自社に適した項目を事業に取り込むことで、企業と社会の「共通価値の創造」がもたらされる。取組を通して企業価値が持続的に向上すれば、機関投資家にとっては長期的な投資リターンの拡大にもつながる。  機関投資家によるESG投資と、投資先企業のSDGsへの取組は、表裏の関係である。  日本最大の投資機関のひとつGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2015年にPRI原則に署名したことで、ESG投資が加速している。"




【問 3】 弁護士法第72条の非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止(本問では非弁行為という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 賃貸住宅管理業者が、管理物件の家賃の入金が1日遅れている入居者に対して、専用のアプリで入金を催促することは、非弁行為の規定に違反する。
2 サブリース業者が、入居者からの入金が3カ月程滞ったことで、契約の解除も視野に入れ、内容証明郵便で催告することは弁護士法第72条の非弁行為の規定に違反する。
3 サブリース業者から委託をうけた勧誘者の立場を有する宅地建物取引業者であっても、賃料滞納する入居者に対して訴訟も視野にいれた催告を行うことは、弁護士法第72条の非弁行為の規定に違反する。
4 賃貸住宅管理業者が賃貸人から書面で代理権が授与された場合は、賃貸住宅管理業者は賃貸人本人の立場で滞納賃料の督促業務ができ、非弁行為の規定に抵触しない。

正解:3


1× 弁護士又は弁護士法人でない者は、原則として、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができません(弁護士法72条)。家賃入金を数日遅れた程度では法律事務とはいえません。

2× 特定転貸事業者(サブリース業者)と入居者との関係は、転貸借契約に基づく当事者の関係となります。したがって、委託を受けて法律事務を扱うわけではないので、弁護士法72条に違反しません。

3〇 特定転貸事業者(サブリース業者)と入居者との関係は、転貸借契約に基づく当事者の関係となります。しかし、特定転貸事業者から委託を受けた勧誘者は、転貸借契約に戻づく当事者の関係とはいえず、弁護士法72条に違反する可能性があります。

4× 代理権を授与された場合でも、委託を受けて法律事務を扱うことになり、弁護士法72条に違反します。